تسجيل الدخولまだ僕が未来に夢と希望を抱き、真面目に頑張っていた頃のことだ。
その当時、僕の学年では女子の間で、いろんな色や形のリボンを集めることが、ささやかなブームになっていた。 もちろん僕のような男子にはまったく関係のない話で、事実その事件が起きるまで、僕は流行っていることさえ知らずに居た。 事件というのは、まあわりとよくある話で、ようするに盗難だ。彼女たちのリボンが体育の授業中に、まとめてなくなったのだ。もしかしたら犯人は、ちょっとしたイタズラのつもりだったのかもしれない。 その頃の僕は何かとみんなに頼りにされていたこともあって、女の子たちからリボンを取り戻してくれるよう頼まれた。 名探偵ではないので犯人が誰かなんて見当もつかなかったけど、それはまだ校内のどこかに隠されているものだと僕は考えた。 まだ下校時間ではなかったから、犯人が誰であれ、大量のリボンを隠し持つのは難しい。ならば、きっと学校のどこかに隠したはず――そう考えたのだ。 はたして、それは屋上へとつづく階段の踊り場に積み上げられていた使われていない机の中から、まとめて見つかった。 僕は喜んで、それを彼女たちに届けに行ったのだが、そのとき誰かが言ったのだ。「やっぱり、三日森が犯人だったぞ!」
なにを言われているのか、一瞬わからなかった。
でも、その瞬間、そこに集まっていた全員の目が冷たいものに変わっていたんだ。 一瞬の間を開けて次々に罵声を浴びせられ、僕にリボンを探すように頼んでいた女子たちまでもが僕を罵り始めた。 混乱しつつも、僕は説明した。 そもそもリボンが盗まれたその時間に僕は体育倉庫で先生の手伝いをしていたから、そんなことは不可能だってことを理路整然とみんなに話したんだ。 だけど話し終えたとき返ってきたのは誰かのげんこつだった。 あとはもうみんなが寄ってたかっての殴る蹴るだ。 もちろん小学生のリンチなんて、たかが知れているから、大怪我なんかはしなかった。 ただ、そのとき誰かが言ったんだ。「前から生意気だと思ってたんだよ」
――てね。
そしてそれに「そうだそうだ」と追従する声。 僕はそれで気づいてしまった。 ああ、こいつらは犯人なんて誰でもいいんだ。ただ僕を吊し上げる理由が欲しかっただけだって。 おかしいだろ? その瞬間まで僕は、そいつらのことを仲間だと信じていたんだ。 なんて滑稽なんだろう。それまで僕は自分が疎まれてるなんて夢にも思わなかった。だって僕はべつにそいつらに何もしてないんだ。 だけど現実はこれだ。 そこには僕の味方なんてひとりも居なかった。僕のことをいつも親友だなんて言っていた奴も、困っていたときに助けてやった奴も、僕の言葉に耳を貸さないばかりか、僕を痛めつける側に回って、へらへら笑っていやがったんだ。 挙げ句、泣きながら家まで逃げ帰った僕を待っていたのは、親父のげんこつさ。 どうやら女子の誰かが僕が泥棒だって親に告げ口して、うちに抗議の電話を寄越したらしい。それを親父は何も考えずに信じ込んだんだ。 もう言い訳するのもバカバカしくて僕は家を飛び出したよ。 どこへ向かうかも決めずに、ただただ走って走って何もかもから逃げ出したかった。 その後のことは、よく覚えてない。 でもまあ、気づいたときには家に居たから、けっきょく連れ戻されたんだろう。 親父は最後まであやまらなかったけど、翌日には僕の潔白は証明された。 当然だ。そのとき僕は先生たちと一緒に居たのだから。 教頭が嘆いていたよ。我が校で集団リンチが起きるなんて考えもしなかったって。 でもまあ、しょせんは義務教育の小学校で、僕も大怪我をしたわけじゃないから大きな問題になることはなかった。 先生たちは僕に暴行を働いた連中に頭を下げることを強制しただけで、根本的な解決は試みてもいない。奴らが反省などしていないことは、それから僕がみんなに無視され続けたことを見ても一目瞭然だったけどね。 もっとも僕はそれを気にも留めなかった。なぜなら僕はもうそのときには、誰も信じないことに決めていたからだ。 それ以来だよ、僕は覚えていたくない相手の顔と名前を不思議なぐらい、すぐに忘れられるようになったんだ。 だから僕はもう、そいつらの顔も名前も思い出さない。中学までは一緒の学校だったんだけど、今はみんなまとめてキレイさっぱり赤の他人だ。 高校を星輪にしたのは、そいつらのことを二度と思い出したくないからってだけじゃなくて、僕が忘れた相手から知り合いみたいに思われるのが気持ち悪かったからでもあるんだ。 幸い、同じ中学から、ここに来た奴は居なかったから、気楽だったよ。 できれば家にも帰りたくはないんだけど、そうもいかない。 まあ、親父は毎日どこかで飲んでくるから、帰りはいつも11時を回ってる。 僕はそれまでには風呂も歯磨きもすませて部屋に戻ってるから、まず顔を合わせることはないよ。朝も親父が起きる前に家を出るようにしてるしね。 まあ、だいたいこんな感じさ。僕が君のいう偏屈になった事情は。 けっこう可哀想だろ? いや、笑ってくれていいよ。けっきょくはいじけてるだけだってね。◆
レールの上を列車は規則正しく揺れながら淡々と走り続ける。 昼過ぎの車内は朝と違ってガラガラで他の客は居ないようだ。 長々とつまらない話をしてしまった僕は、その間ずっと無言だった月子が気になって、そちらに視線を向けた。 目と目が合った。彼女も静かに僕のことを見つめていたからだ。 視線を逸らすタイミングを逸して、しばし見つめ合ってしまう。 僕は彼女が何か言うと思っていた。僕が今まで話していたつまらない話を聞いて。 だけど彼女は黙ったまま僕を見つめてくる。笑うでも慰めるでもなく、本当にただ見つめてくるだけだった。 僕はなんだか落ち着かなくなって瞬きしたり目を逸らしては戻したりを繰り返してしまい、最後にはいたたまれない気分で彼女の名を呼んだ。「あ、あの、沢木南……?」
「月子って呼んで。同じ学年に姉が居てややこしいから」 「つ、月子……」うっかり呼び捨てにしてしまったが彼女は気にしたふうもない。
「少し眠ったほうがいいわ。まだだいぶキツそうだし」
「あ、ああ」頷いて、僕は素直に目を閉じた。
月子はああ言ったが頭痛はかなりマシになっていた。 それでも疲れては居たのだろう。規則正しい列車の揺れに身を任せていると睡魔はすぐに訪れる。 けっきょく、気弱になっているのだ。 あんな昔話を月子にして、僕は慰めてもらいたかったのだ。格好悪いことこの上ない。僕は月子に甘えようとしていた。 あの日、確かに誓ったはずなのに。誰も信じない、頼らない、アテにしないと。「大丈夫だよ、三日森くん」
浅い微睡みに誘われながら、僕は月子の声を聞いた。
「わたしは君を裏切らないから」
それが現か、僕の願望が聞かせた幻なのか……判断がつかないままに意識は闇の中へと落ちていった。
月子と花屋敷さん、それに晴れて花屋敷さんの彼氏となった滝沢を除けば、屋上に集まっていたのは僕が知らない人ばかりだった。 存在すら知らなかったような部活だから、せいぜい四、五人の集まりだろうと思っていたのだけど、意外なことに欠席者を含めると九人が在籍していた。 考えてみればソフトボールの試合ができるのだから、それだけの人数はいて然るべきだったが、まさか全員が女子とは思わなかった。 ちなみに欠席者とは月子の双子のお姉さんで、今日は外せない用事があるとのことだった。 僕も何度か校内で姿を見たことがあるけど双子だけあって確かに月子と瓜二つである。 ただ、前に田中から聞いたとおり印象は正反対で、明るい月子に対してあちらには物静かな印象だった。 知り合いになり損ねたのは残念だけど、これ以上女子が増えることを思えば、むしろラッキーだったかもしれない。 なにせ先輩後輩を含む見知らぬ女子に囲まれて僕は滝沢とふたり、正直気後れする思いだったのだ。 しかし、花屋敷さんが滝沢を彼氏として皆に紹介したため、一同の興味はそちらに集中してくれた。 僕はこれ幸いと滝沢を見捨てて星を見る作業に没頭することに決めたが、望遠鏡の使い方さえよくわからなくて、結局は後輩女子のレクチャーを受けることとなった。 それでも春先から月子に散々揉まれたお陰が、無難に言葉を交わすことができたと思う。 当の月子はと言えば最初のうちこそ星を観て騒いでいたが、いつの間にか滝沢と花屋敷さんを連れて『七不思議探訪』に出ていってしまい、結局解散間際になるまで帰ってこなかった。 僕の方はむしろ途中から星を観るのに夢中になって気づかなかったけど、その間何度も滝沢らしき人物の悲鳴が校舎の方々から響いてきていたとのことだ。 後日それについて滝沢に訊ねてみたのだが、滝沢は青ざめた顔でひと言「この世には知らないほうが幸せなこともある」とだけ言った。 それを聞いたうえで詳細を確かめる勇気なんて、もちろん僕にはない。◆ 人生初の天体観測を終えた僕は駅のホームへとつづく階段を上っていた。 つい先刻までは電車通学の部員と一緒で、星
教室に戻ったとき、すでに一時限目の授業が始まっていたが、そこには月子と田中の姿がなかった。 そういえば級友を思いっきり殴ってしまうなんて、これはいろいろと後を引くかも知れない。ヘタをすれば停学処分だ。 これでまた親父になにを言われるかわからないが、自業自得だからしかたがない。殴ってしまったこと自体を僕は悪いとは思わないが、それでもやっぱり後味の悪さは感じている。 あんなことをした田中に対する怒りは冷めていなかったが、それでも今日まであいつは僕らの友達だった。その友情もこれで終わりかもしれない。それは寂しいことに違いなかった。 授業内容を右から左へと聞き流しながら、ぼんやり考え込んでいると、やがて月子が教室に戻ってきた。 どうやら田中を保健室に連れて行っていたらしい。 その田中本人はというと今日は気分が悪くて早退したとのことだ。 まさか僕が殴ったときに頭でも打ってしまったのだろうか? 一時限目の授業の間、僕は不安な気持ちにさせられたが、休み時間が来ると、月子がぜんぶ事情を話してくれた。「顔の腫れ以外はどうってことないわ。でも、誰がどう見ても人に殴られたって顔になってるから、今日はもう帰るって。でないと教師にいろいろ聞かれそうだしってさ」 それって、もしかして僕が処分とかくらわないようにってことなのだろうか? 月子はそこまでは聞いていないのか、自分の解釈などは挟まず、事実だけを述べる。「三人にあやまっておいてくれって言ってたわよ。なんでもひとりだけ蚊帳の外に置かれて寂しかったんだってさ」 それを聞いて僕と滝沢は顔を見合わせた。「俺のせいか……」 滝沢はつぶやくが、ふたりだけで話を進めようとしたのは僕も同じことだ。「あなた達が気に病む必要はないわ。実際、悪いのは田中くんなんだから」「けど、俺の態度があいつを傷つけていたなら……」「それが嫌なら、彼はそのことをちゃんとあなた達に告げるべきだったのよ。何かあるなら僕にもちゃんと話してくれってね」 月子の言うこ
『フラれた』 夜になって滝沢からかかってきた電話は、その一言で始まった。『ごめんなさいって言われてさ。ああいうとき、女の子ってなにも悪くないのに、なんであやまんだろうな』「滝沢……」 滝沢の声はサバサバしていたが、そこにはむしろ深い喪失感があるような気がした。感情を整理できずに今は心が麻痺している。そんな感じなのだろう。「悪かったな、三日森。なんか迷惑かけちまって」「ぜんぜん迷惑なんてしてないよ。友達なんだから、変な気を使うなよ」 少し前の僕には、こんなことを言う資格はなかった。言う奴を見たらバカにしていただろう。でも今は心から、そう思っている。「そっか……そうだよな。いいよな、ダチってさ」「ああ」「もしお前も好きな女ができたなら俺に協力させてくれよ。恩返しがしたいしさ」「う、うん、そのときは、ぜひ頼むよ」 言いながら、ちょっと後ろ暗い気持ちになる。好きな人なら最初からいるからだ。 それを未だに滝沢に話したくないというわけでもなかったけれど、フラれたばかりの相手にはやはり相談しづらい。「もともと高嶺の花だとは思ってたんだよな。花屋敷さんは綺麗だし、俺と違って真面目を絵に描いたような清楚な人だし」「滝沢……」 なんて言えばいいのか。まともに友だちづきあいをしてこなかった僕には――いや、そんなの言い訳だ。 言葉を選ぶのは誰だって難しい。ひとつ間違えれば助けたい相手を傷つけることだってある。それでも、黙っていれば相手を傷つけずにいられるってわけでもない。 まったく、こんな面倒なことを月子はいつも僕に対してやっていたわけだ。 だから僕もやらなくては。彼女に救ってもらった心で、ほんの少しでも友達の力になるんだ。「滝沢、僕はお前のことを、そんなに低く見積もってないぞ」「三日森?」「お前はいい奴だ。クラスの男子の中で一番いい奴だ。だから、自信を持ってくれ……そんなふ
「何をにやにやしているの?」「うわっ」 いつもどおりの電車の中、滝沢の幸せを願っていると、僕は唐突に彼女に声をかけられた。 そういえばひとつ前が彼女の乗ってくる駅だったのに完全に失念していた。こんなことは初めてだけど、それにしても昨日の今日で、よくこの車両に乗ってくるものだ。他人のことはまったく言えないけど。 もっとも、周囲の客は取り立てて僕らに注目することはなく、普段どおりに過ごしているようだ。あの程度のことでは興味なんて長続きしないのだろう。 僕はあらためて彼女に顔を向けたが、そこにはもう怒りの感情は浮かんでいない。昨日のアレはなんだったのだろうか? 虫の居所が悪かっただけとか? 考えてもわからないので、それは横に置いておいて僕は彼女に答えた。「友達のことを考えていただけだよ」「友達?」「今日、好きな娘に告白するんだ」「そう……」 彼女は少し間を開けてから囁くように言った。「上手くいくといいわね」 正直僕は少し驚いた。昨日のこともあったから、もう少しキツイタイプかと思っていたのだけど、今の言葉には本物の思いやりを感じたからだ。「う、うん。僕も応援してるんだ」 僕が言うと彼女は微笑んだ。彼女のこんな表情は初めて見る。それはとても魅力的で、どきっとするほど美しかった。「あなたには恋人は居ないの?」「ぼ、僕は……モテないからね」 正直に言って目を逸らす。考えてみれば、生まれてこの方ラブレターもバレンタインのチョコすら貰ったことがない気がする。「おかしいわね」「え……?」 彼女の言葉に顔を上げる。「身長はそれなりで顔の作りも悪くないのに」「そ、そうかな?」 褒め方としても微妙だけど悪い気はしない。「わたしもね、恋人は居ないの」 不意の言葉に僕は彼女の顔を注視した。だけど彼女のほうは僕と視線を合わせようとは
「三日森、ちょっと相談したいことがあるんだ。ここだとなんだし、屋上まで来てくれないか?」 放課後、そう言って僕の予定を狂わせたのは滝沢だった。 いつになく真剣な顔した友人を無碍にもできず、僕は月子と話すことをあきらめて、滝沢の後について屋上まで足を運んだ。 明るく幅の広いモダン建築の階段を上ると両開きのガラス扉が見えてくる。そこを開けばプランターに色とりどりの花が植えられた生徒たちの憩いの場が広がっているのだが……「暑い……」「そ、そうだな」 僕の隣で顔をしかめる滝沢。今は半日授業なので日差しも強く、とても外に出る気がしない。 とりあえず予定を変更してガラス扉を閉めると、回れ右をして空調の効いた踊り場で話を聞くことにした。ちょうど長イスまで置いてあって雑談するにはちょうどいい。「それで滝沢、相談ってなんなんだ?」「う、うん、それなんだが……」 滝沢はこちらに顔を向けることもなく、なにやら言いにくそうにしている。急かす必要もないので、僕は気長に待つことにした。 我が校の全館冷暖房完備の謳い文句はダテではなく、こんな屋上の出入り口ですら快適だ。両開きとなったガラス扉の向こうには目映い光に照らし出された屋上が別世界のように広がっているが、こうして眺めている分にはむしろ心地良い。遠くから響くセミの声も、ここでは子守唄のようなものだ。 壁に視線を移せば大きなボードに様々なポスターやプリントが貼り出されている。中には壁新聞もあって、都市伝説も同然の屋根の上に現れるマッチョ男がどうのこうのというくだらない記事もあった。 それにも見飽きて、だんだん退屈し始めた頃、ようやく滝沢は口を開いた。「三日森、お前って月子さんと仲がいいよな」「……て、またその話かい?」「いや、そういう意味じゃなくてさ」「じゃあ、どういう意味?」「俺よりは仲がいいってことさ」「まあ……自惚れじゃないなら、友だち程度には思
今日も晴天に恵まれて電車のエアコンは朝から大忙しだった。 空調の効いた客車の中で、いつもどおりの揺れを感じながら、僕は彼女が現れるのを待つ。 また以前の男が一緒だったらと不安な気持ちもあったけれど、いつもの駅から乗り込んできたとき彼女はひとりだった。 内心でホッと胸を撫で下ろしながら、彼女の動向をさりげなく視界に入れる。 今日は乗客が少ないらしく、ちょうど僕の斜め前に空席ができていた。おそらく彼女はそこに座るだろう。いいポジションだ――なんて考えていると、まるで覗きかストーカーのような気もしてくるが、そこはあえて気にしないことにする。 しかし、彼女はその前を通って――なぜか、そこに座ることなく――こちらに向かって歩いてきた。(なんだろう?) とまどう僕をよそに、彼女は僕の真っ正面に立つと、そこで吊革を手にして口を開いた。「かわいい彼女が居るのね」「…………」 はじめて耳にする彼女の声。それはイメージどおりに美しかったけど、いったい誰に向かって話しかけているんだろう?「仲がいいのは結構なことだけど、公共の場であんなふうに抱き合うのはどうかと思うわ」「……え?」 僕はとまどいながら左右を確認した。左に座っているサラリーマンは居眠りをしている。右側の大学生はヘッドフォンをかけて、なにやら音楽を聴いているようだった。 つまり、彼女が話しかけているのは、どう考えても……。「でも意外ね。ホラー映画、好きだったんだ」「ち、違っ」 僕は思わず立ち上がろうとしたが、そのせいで彼女にぶつかり、その胸に顔を埋める。「ご、ごめんっ」 今度は慌てて席に着いたけど、当然ながら彼女は不機嫌そうに顔を赤らめていた。そのまま冷たい声音で僕に詰問するように言ってくる。「違うってなにが?」「僕と月子は、ただの友達で……」「月子っていうんだ。あなたってば、た







